住宅ローン金利上昇で返済額はいくら増える?5年前・現在・5年後を比較 | 住まいのWebマガジン/TEAM NEXT MAGAZINE

住宅ローン

住宅ローン金利上昇で返済額はいくら増える?5年前・現在・5年後を比較

新築住宅購入者を圧迫する三重苦の構造図。土地価格上昇、建物価格上昇、住宅ローン金利上昇の3要因が同時に負担を増加させている。

最近、住宅ローン金利のニュースに敏感になっている方が増えました。

これから住宅を購入しようと考えている方はもちろん、すでに変動金利で住宅ローンを借りている方からも、「金利はまだ上がるのでしょうか」「今から家を買って大丈夫でしょうか」と聞かれることがよくあります。

確かに、住宅ローン金利の上昇は無視できません。

ただ、現在の住宅購入者が直面している問題は、金利だけではありません。土地価格が上がり、建物価格も上がり、そこへ住宅ローン金利の上昇まで重なっています。

いわば、新築住宅を購入する方にとっての「三重苦」です。

5年前なら3,500万円で購入できた住宅が、現在では4,500万円になっています。エリアによっては、それ以上の5,000万円、いやそれ以上になっているエリアもあります。

そのうえ、住宅ローン金利も0.4%程度(5年前の変動金利の最優遇実行金利)から1.0%程度(現在の変動金利の最優遇実行金利)へ上がっています。

購入価格が1,000万円違うだけでも大きな負担ですが、借入金額が増えたところに金利上昇が重なるため、実際の総返済額にはさらに大きな差が生まれます。

この記事では、住宅価格と住宅ローン金利が上がっている理由を整理したうえで、5年前、現在、そして仮定としての5年後について、毎月の返済額と支払利息を比較します。

5年前と比べて、住宅取得の負担は明らかに重くなった

神戸都市開発は不動産・建築の仕事をしていますが、ここ10年ほど(特にこの5年は顕著)、住宅の販売価格が相当上がったと現場で働いている肌感覚として感じています。

以前であれば3,000万円台で検討できた新築住宅が、現在では4,000万円台になったり、立地や建物の仕様によっては、それ以上になることも珍しくありません。

一方で、購入する方の年収が住宅価格と同じ割合で増えているわけではありません。※増えている方もいるかと思いますが、あくまでも平均的なお話しです。

その結果、頭金を増やす、購入するエリアを変える、土地や建物の面積を小さくする、あるいは住宅ローンの返済期間を延ばすといった対応が必要になっています。

5年前と現在の違いを簡単に整理すると、次のようになります。

同じ35年ローンでも、月々の返済額には約3万7,700円の差があります。年間にすると約45万2,000円です。

これは、家計にとって決して小さな差ではありません。いやむしろとてつもなく大きな金額です。

住宅ローンは1年や2年で終わる支払いではありません。教育費が増える時期や、車の買い替え、住宅の修繕、老後資金の準備などと並行して、長期間返していくものです。

毎月3万円、4万円の差は、時間がたつほど重くなります。

住宅取得の負担が重くなっている3つの理由

住宅購入の負担が増えた理由は、大きく分けて三つあります。

土地価格の上昇、建物価格の上昇、そして住宅ローン金利の上昇です。前の二つは物件そのものの価格を押し上げ、三つ目は同じ金額を借りたときのコストを押し上げます。方向は違いますが、財布から出ていくお金という一点で、この三つはすべて同じ方向に効いてきます。

土地価格が上昇している

土地価格は、全国どこでも一律に上がっているわけではありません。

駅に近い場所、買い物や通勤に便利な場所、人口が集まる都市部などでは、土地を探す人が多い一方で、売りに出る土地は限られています。需要に対して供給が少なければ、当然、価格は上がりやすくなります。

2026年の地価公示でも、全国の住宅地は5年連続で上昇しました。

具体的に阪神間で2カ所ほどの実例を出しましょう。
JR新長田駅の北側(区画整理して綺麗な町並みのエリア)は、15年ほど前は坪50万円〜60万円程度でしたが、今は120万円ほどです。単純に倍です。

30坪の土地でも1,800万円の差がでます。

もう一つ、JR住吉駅の北側は、15年ほど前は坪120万円〜140万円程度だったのが、今や240万円や250万円でも売れています。
ちなみに、神戸や阪神間の住宅地の価格としては、ここはベスト5に入るかと思います。

坪250万円って……東京かよ、と思ってしまいます。

まさか阪神間で坪250万円の土地になるとは、と業界歴24年の私は思ってしまいます。

ただし、今後については地域差がさらに大きくなると神戸都市開発は考えています。

利便性が高く、住宅需要が続く場所は上昇する。一方で、人口減少の影響を強く受ける地域では横ばい、あるいは下落する場所も出てくるでしょう。

つまり、「土地価格は今後も上がる」「いずれ全体的に下がる」と単純に考えることはできません。

2極化(上昇するエリア、下がるエリア、但し下がるエリアは横ばいだが長期的には緩やかに下がる、も含む)が進むと思います。

どの地域なのか、駅からの距離はどうか、周辺にどのような施設があるのか。土地価格については、これまで以上に細かく見ていく必要があります。

建物価格が上昇している

土地と違い、建物価格は全国的に上昇しています。

建物を建てるには、木材、鉄、コンクリート、断熱材、サッシ、住宅設備など、さまざまな資材が必要です。こうした資材の価格に加え、運送費や人件費も上がっています。

昨今の中東情勢がそれに拍車をかけました。

さらに建築業界の人手不足も深刻です。

材料費だけでなく、建物を設計し、現場を管理し、実際に工事をするための費用も上がっているため、住宅会社や工務店の努力だけで吸収するのは難しくなっています。

事実として、工務店、ハウスメーカーが原価高や人手不足によって、収益が悪化して、倒産、という事があちこちで起きています。

神戸都市開発もそうならないように、業務効率化を進めている真っ最中ではあります。

いずれにしても、一時的な原価上昇であれば、いずれ建物価格が下がる可能性もあります。しかし、人件費や物流費、職人不足などを考えると、建築原価が5年前の水準に簡単に戻るとは考えにくいでしょう。いやむしろ戻らないと思います。

数年前に木材の供給が足らない、いわゆるウッドショックがありまして、一時期木材が2.5倍から3倍ほどになりました。

1年ほど経つと、ある程度は落ち着いたものの、それでも結局元の値段には戻りませんでした。

省エネ基準の引き上げも建物価格に影響する

建物価格が上がるもう一つの要因が、住宅に求められる省エネ性能の向上です。

2025年4月以降に着工する住宅は、原則として省エネ基準への適合が義務付けられています。

断熱性能の高い窓や断熱材、高効率の住宅設備などを採用しなければならず、建築時の原価は当然上がります。一方で、冷暖房効率が良くなり、入居後の光熱費を抑えやすくなるというメリットもあります。

そのため、省エネ基準の引き上げ自体を否定する話ではありません。長く住む住宅の性能を高めることには、十分な意味があります。

ただし、住宅の性能が上がれば、取得時の価格にも反映されます。

個人的には、光熱費の削減額より建物価格の上昇幅のほうが大きいのではないか、少し複雑な気持ちにもなります……。ただし、省エネ性能の向上は住み心地や将来の資産価値にも関わるため、単純な損得だけでは測れません。

建築資材の値上がりに加え、求められる住宅性能そのものが高くなっている。これも、現在の新築住宅が高くなっている理由の一つです。

日銀の政策金利は5年前から大きく変わった

5年前の2021年、日本銀行は政策金利残高にマイナス0.1%を適用していました。

いわゆるマイナス金利政策の時代です。懐かしいな、この時代。

その後、日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、段階的に政策金利を引き上げました。2026年6月には、政策金利(いわゆる無担保コールレートの誘導目標)を1.0%程度に引き上げ、同年7月もその水準を維持しています。

一般にいわれるゼロ金利時代と比べれば約1.0ポイント、2021年当時のマイナス0.1%と比べれば1.1ポイントの上昇です。

ここで注意したいのは、すべての住宅ローン金利が日銀の政策金利とまったく同じように動くわけではないことです。

変動金利は、日銀の政策金利の影響を受ける短期プライムレートなどを基準に決められるのが一般的です。固定金利については、10年物国債利回りなどの長期金利から、より強い影響を受けます。

ただ、日銀が利上げを進めれば、住宅ローン金利にも上昇圧力がかかります。

「政策金利が1%上がったから、自分の住宅ローン金利も必ず1%上がる」という単純な関係ではありません。ただし、日銀の金融政策と住宅ローン金利が無関係かというと、それも違います。過去の動きを見ている限り、両者は連動して動く場面が多い、というのが神戸都市開発の見方です。

住宅購入者を襲う「三重苦」

現在、新築住宅を購入する方は、三つの値上がりに同時に直面しています。

一つ目が土地価格、二つ目が建物価格、三つ目が住宅ローン金利です。

土地と建物が高くなると、必要な借入金額が増えます。さらに、その増えた借入金額に以前より高い金利がかかります。

ここが重要です。

住宅価格が1,000万円上がったから、負担も単純に1,000万円増えるだけではありません。借入金額が増えると、そこにかかる利息も増えるため、最終的な総返済額の差は1,000万円を超えます。

住宅取得価格と借入コストが同時に上がる。神戸都市開発は、現在の住宅市場を、新築住宅を購入する方にとっての「三重苦」だと感じています。

新築住宅購入者を圧迫する三重苦の構造図。土地価格上昇、建物価格上昇、住宅ローン金利上昇の3要因が同時に負担を増加させている。
土地価格・建物価格・住宅ローン金利が同時に上がる「三重苦」

5年前と現在の住宅ローンを比較

それでは、具体的な数字で比較していきましょう。

5年前は3,500万円で住宅を購入し、購入代金の全額を年0.4%、35年ローンで借りたとします。

現在は、土地価格と建物価格の上昇によって同程度の住宅が4,500万円になり、年1.0%、35年ローンで全額を借りるものとします。

返済方式は元利均等返済、ボーナス返済なし、金利は返済期間中変わらないものとして計算しています。事務手数料、保証料、団体信用生命保険の上乗せ金利などは含みません。

5年前と現在の住宅ローン比較。物件価格が1,000万円、金利が0.6ポイント上がると、月々約3万7,700円、総返済額約1,584万円増えることを示す。
5年前と現在では、月々約3万7,700円、総返済額は約1,584万円の増加
5年前と現在の住宅ローン比較
項目5年前現在
物件価格・借入額3,500万円4,500万円+1,000万円
金利年0.4%年1.0%+0.6ポイント
月々の返済額約8万9,300円約12万7,000円+約3万7,700円
総返済額約3,751万円約5,335万円+約1,584万円
支払利息総額約251万円約835万円+約584万円

物件価格の差は1,000万円ですが、総返済額の差は約1,584万円です。

月々では約3万7,700円、年間では約45万2,000円の負担増になります。

毎月の返済額だけを見ると、「何とか払える」と感じる方もいるかもしれません。しかし、この差が35年間続くと考えれば、家計への影響は大きくなります。

また、今回の計算は金利が変わらない前提です。変動金利を選び、返済期間中に金利がさらに上がれば、将来の返済負担も増える可能性があります。

改めて表にしてみると、上がったな……と率直に感じます。

仮に5年後、物件価格が5,000万円、金利が1.5%になったら

ここから先は将来予測ではなく、住宅価格と金利がもう一段上がった場合の仮定です。

5年後、現在4,500万円の住宅が5,000万円になり、住宅ローン金利が年1.0%から年1.5%へ上昇したとします。

5年前・現在・5年後(仮定)の比較
項目5年前現在5年後(仮定)
物件価格・借入額3,500万円4,500万円5,000万円
金利年0.4%年1.0%年1.5%
月々の返済額約8万9,300円約12万7,000円
+約3万7,700円
約15万3,100円
+約6万3,800円
総返済額約3,751万円約5,335万円
+約1,584万円
約6,430万円
+約2,679万円
支払利息総額約251万円約835万円約1,430万円

※5年後は将来予測ではなく、物件価格5,000万円・金利1.5%と置いた仮定です。

5年前、現在、5年後仮定の住宅価格、金利、月々返済額、総返済額、利息総額の推移を示す。5年後の数字は仮定。
5年前から5年後の仮定では、月々の返済額が約1.7倍に

5,000万円を全額借り入れ、35年間で返済すると、月々の返済額は約15万3,100円です。

総返済額は約6,430万円となり、そのうち支払利息は約1,430万円になります。

5年後の仮定と現在を比べると、月々の返済額は約2万6,100円増え、総返済額は約1,095万円増えます。

5年前と比べると、月々の返済額は約6万3,800円の増加です。年間では約76万6,000円、総返済額では約2,679万円の差になります。

もしこの仮定どおりに上がるとすれば——私の中では、これは極めて現実的な数字だと思っています——月々の返済額は10年で約1.7倍になります。8万9,300円が15万3,100円です。同じような家を買うだけで、毎月6万3,800円、年間で76万6,000円多く払うことになる。この数字を見て、私は正直ぞっとしました。

もちろん、5年後に必ず物件価格が5,000万円、金利が1.5%になるという意味ではありません。

土地価格は、地域や需給によって上がる場所、横ばいの場所、下がる場所に分かれるでしょう。日銀の政策金利も、経済や物価の状況によって変わります。

ただ、物件価格と金利が同時に上がったとき、住宅購入者の負担がどのように膨らむのかを知るための参考にはなります。

借りる金額が大きくなり、その元金に高い金利がかかる。物件価格と金利が同時に上がると、月々の返済額だけでなく、支払利息も大きく増えていきます。

今後、土地・建物・金利はどうなるのか

今後の土地価格については、地域によって動きが分かれると考えています。

人口が集まり、住宅需要が強いエリアでは、土地価格がさらに上がる可能性があります。一方で、住宅需要が弱くなる地域では横ばい、または下落する場所も出てくるでしょう。先程お話しした2極化です。

土地については、全国平均よりも、購入を検討している地域の需給を見ることが大切です。

ただ、建物価格については、今後も上昇傾向が続く可能性が高いと見ています。

建築資材、人件費、物流費が大きく下がる材料は、現時点ではそれほど多くありません。というより、ありません。

さらに、2030年に向けて、新築住宅に求められる省エネ性能は一段と高くなる方向です。

住宅性能が向上すれば、住み始めてからの光熱費や快適性には良い影響があります。しかし、取得時の建築原価には上昇要因となります。

住宅ローン金利についても、少なくとも「もう上がらない」と決めつけることはできませんし、それどころか上昇トレンドにある事は間違いありません。

日銀は、経済・物価情勢に応じて、引き続き政策金利を調整していく方針を示しています。金利がどこまで上がるか、いつ上がるかを正確に予測することはできませんが、住宅ローンを借りる側としては、今より高い金利になった場合も想定しておくべきです。

なぜ40年、45年、50年ローンが増えているのか

以前の住宅ローンは、35年で組むのが当たり前でした。35年超の商品がまったくなかったわけではありませんが、扱う金融機関は限られ、実際に選ぶ方も多くありませんでした。

ところが最近は、40年ローン、45年ローン、50年ローンを取り扱う金融機関が増えています。特に40年ローンの利用が目立つようになりました。

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2025年4月調査、n=1,397)を見ると、返済期間で最も多いのは「30年超〜35年以内」の45.8%。その一方で、「35年超〜40年以内」が15.5%、「40年超〜50年以内」が9.9%、「50年超」が1.0%となっています。

住宅ローンの返済期間の分布
返済期間2025年4月調査位置づけ
30年超〜35年以内45.8%最多
35年超〜40年以内15.5%35年超
40年超〜50年以内9.9%35年超
50年超1.0%35年超
35年超の合計26.4%4人に1人超

出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」(2025年4月調査、n=1,397)

35年を超えるローンを組んだ人は、合わせて26.4%。4人に1人を超える水準です。なお、これは民間金融機関の住宅ローン利用者も対象にしたアンケートで、「フラット35利用者調査」とは別の調査です。

統計の話はここまでにして、現場の話をします。神戸都市開発の商談でも、40年ローンを前提に資金計画を立てる方が明らかに増えました。以前は35年で組むのが当たり前でしたが、今は最初から40年で試算してほしいと言われることがあります。数年前には、ほとんどなかったことです。

なぜ返済期間が長くなっているのでしょうか。

理由は単純で、住宅価格と金利が上がり、35年返済では毎月の支払額が収まらなくなってきたからです。

実際に払えないのであれば、年数を延ばすしかない。

これが、40年、45年、50年ローンが増えている大きな理由だと思います。

ただし、返済期間を延ばすことには注意点もあります。

毎月の返済額は下がりますが、元金の減り方は遅くなります。利息を払う期間も長くなるため、支払利息と総返済額は増えやすくなります。

完済時の年齢も確認しなければなりません。

30歳で50年ローンを借りれば、完済は80歳です。定年退職後も返済が続く可能性があります。また、途中で住宅を売却するときに、売却価格より住宅ローン残高のほうが多ければ、自己資金を出さなければ売却できない場合があります。

長期ローンそのものが悪いわけではありません。

毎月の支払いを抑えながら手元資金を残し、計画的に繰上返済をする考え方もあります。大切なのは、毎月の返済額だけを見て決めないことです。

4,500万円を年1.0%で借りた場合の返済期間別比較
返済期間月々の返済額総返済額支払利息総額
35年約12万7,000円約5,335万円約835万円
40年約11万3,800円約5,462万円約962万円
50年約9万5,300円約5,720万円約1,220万円

※元利均等返済・ボーナス返済なし・期間中の金利一定として試算した概算です。

住宅は「借りられる金額」ではなく「返せる金額」で考える

住宅ローンの審査に通ったからといって、その借入額が家計にとって安全とは限りません。

金融機関が審査する「貸せる金額」と、家計が無理なく払い続けられる「返せる金額」は別のものです。

住宅を購入したあとには、固定資産税、火災保険、地震保険、設備の交換、外壁や屋根の修繕など、住宅ローン以外の支出も発生します。

子どもの教育費や老後資金も必要です。

特に変動金利を選ぶ場合は、現在の金利だけでなく、金利が0.5ポイント、1.0ポイント上がった場合の返済額も確認しておくべきです。

返済期間を40年や50年に延ばす場合は、完済年齢、退職後の収入、将来の売却予定、繰上返済の方針まで考えておく必要があります。

まとめ

5年前と現在を比べると、新築住宅を購入する方の負担は大きくなっています。

土地価格が上がり、建物価格も上がり、住宅ローン金利まで上がる。現在は、住宅購入者にとって三重苦ともいえる状況です。

今回の試算では、5年前に3,500万円を年0.4%で借りた場合、月々の返済額は約8万9,300円でした。

現在、4,500万円を年1.0%で借りると、月々約12万7,000円です。さらに、あくまで仮定ですが、5年後に5,000万円を年1.5%で借りると、月々約15万3,100円になります。

以前は35年ローンが主流でした。これが現在では、40年、45年、50年という住宅ローンを扱う金融機関が増えています。

理由は明確で、土地も建物も高くなり、さらに金利まで上がれば、35年では毎月の返済額が収まらない。実際に払えないのであれば、返済年数を延ばすしかないからです。

ただ、月々の支払いが下がったからといって、住宅が安くなったわけではありません。

返済期間が長くなれば、利息を払う期間も長くなります。完済年齢も上がり、売却時に残る住宅ローンも多くなりやすいでしょう。

これから住宅を購入する方は、「いくら借りられるか」だけではなく、「金利が上がっても最後まで無理なく返せるか」という視点を持つ必要があります。

ただ、私個人の考えでは、住宅ローンはひとまず長い年数で借りておいて、返せるタイミングで内入返済(繰り上げ返済)をする事が良いと思っています。
なぜなら、住宅ローンの年数は、内入返済によって縮める事はできても、毎月の支払が厳しいからといって、年数を延ばすことができない為です。

よって、リスクヘッジとして、金利負担が大きくなる可能性はあるものの、年数は長く組むのはありかと思っています。

金利負担の総額が上がるリスクと、月々の支払が厳しくなるリスク、どちらを優先するかは人それぞれかと思います。

いずれにしても、住宅価格と金利の両方が上昇する時代だからこそ、購入時の勢いだけで決めず、将来の家計まで含めた返済計画を立てることが大切です。

三重苦の今こそ、住宅取得を後押しする思い切った政策を

土地価格、建物価格、住宅ローン金利が同時に上がっている現在、住宅を購入する方は、まさに三重苦の状態にあります。

このような状況だからこそ、政府には、一般の方が住宅を取得できるよう、これまで以上に思い切った支援策を進めてほしいと思います。

もちろん、現在も住宅ローン減税や、省エネ性能の高い住宅を対象とした補助制度があります。

2026年の住宅ローン減税では控除率0.7%、新築住宅は原則13年間の控除が設けられています。また「みらいエコ住宅2026事業」では、住宅性能や地域に応じた新築住宅への補助があります。神戸市・阪神間で想定される補助額は、GX志向型住宅で最大110万円、一定の世帯要件を満たす長期優良住宅で75万円、ZEH水準住宅で35万円です。

こうした制度は、住宅を購入する方にとってありがたいものです。

ただ、現場で住宅価格の上昇を見ている神戸都市開発の正直な感覚では、現在の支援だけでは足りません。

5年前に3,500万円だった住宅が現在は4,500万円になり、さらに住宅ローン金利まで上がっている。今回の試算では、総返済額の差は約1,584万円に達します。

物件価格と金利がそろって上がっていることを考えると、数十万円から最大110万円程度の補助では、私の率直な感覚としては「焼け石に水」に近い状態です。もちろん制度はありがたい。しかし、5年前と現在の総返済額の差は約1,584万円です。補助額と負担増の大きさには、かなりの開きがあります。

住宅ローン減税についても、税金から控除する制度である以上、納めている所得税や住民税が少なければ、制度上の控除額をすべて受けられない場合がありますし、住宅価格の上昇で最も苦しくなっている世帯ほど、支援の効果を十分に受けられないことも考えられます。

このまま住宅価格と金利の上昇が続けば、一般的な収入の会社員が、自分の収入だけで新築住宅を取得することは、ますます難しくなります。

頭金を用意する。夫婦で収入を合算する。購入する地域を変える。土地や建物を小さくする。やりたかった事を諦める……

35年で払えなければ、40年、45年、50年へ返済期間を延ばす。

そこまでしなければ住宅を持てないのであれば、「夢のマイホーム」は、良い意味での夢ではなく、本当に手の届かない夢になってしまいます。

神戸都市開発は不動産の営業現場で、住宅購入希望者と直接お話をする立場です。

皆さんが無理な希望を持っているわけではありません。家族が安心して暮らせる場所が欲しい。子どもに部屋を用意したい。家賃を払い続けるのであれば、自分たちの住宅を持ちたい。

ごく普通の願いです。

それでも、物件価格と毎月の返済額を見て、購入を諦める方が増えていく。この状況を、住宅市場の問題だけで終わらせてよいとは到底思えません。

住宅の取得は、建築、不動産、住宅設備、家具、家電、引っ越しなど、多くの産業にお金が回ります。若い世代や子育て世帯が安心して住宅を持ち、地域に根を張ることは、少子化対策や地域の活力にもつながるはずです。
私は建築前に、近隣への挨拶回りをします。そこでご年配の方から、こう言われることがしょっちゅうあります。

「お若い方が、お子さんと一緒に住まれるのね。この地域は年寄りばかりだから、若い人や子どもが増えるのは嬉しいわ」

お世辞ではありません。この方々は、地域に若い人や子どもが増えることが、純粋に嬉しいのです。挨拶回りでこの言葉を聞くたびに、私は住宅を売るという仕事が、その家族だけの話ではないんだな、と思わされます。

高市首相には、ぜひ住宅取得を後押しする、これまで以上に踏み込んだ政策をお願いしたいと思います。

一つ私から提案が 笑

例えば、住宅を購入する方に500万円の補助金を出す。

これはかなり思い切った提案です。

仮に年間の新築住宅取得世帯を約40万世帯と置き、その全世帯に500万円を支給すると、必要な予算は約2兆円になります。

500万円×約40万世帯=約2兆円です。※約40万世帯は、持家と分譲住宅の新設着工戸数を基にした概算であり、政策費用を考えるための仮定です。

もちろん、大きな金額です。すべての住宅購入者へ一律に500万円を支給する制度は、財源だけでなく、住宅価格をさらに押し上げる可能性や、高所得者にも同額を支給することの是非など、慎重な設計が必要です。

それでも、この支援規模のままで十分なのかという議論は、もっとあってよいと思います。というより、現場にいる私としては、ぜひ議論してほしい。

一律500万円が難しいのであれば、若年世帯、子育て世帯、初めて住宅を取得する方、一定所得以下の世帯などに対象を絞る方法もあります。※若年世帯、子育て世帯への支援は、今も一部ありますが、本当に焼け石に水です。はっきり言って、その金額では住宅購入の後押しにならず、おまけ程度です。これは私の考えというより、現場でお客様がどう考えているかの肌感覚です。

シンプルにいうと、住宅ローン減税があるか、補助金があるから、若年世帯への支援があるから、それがあるから家を買おう、とはなりません。

その他でいくと、補助金だけでなく、住宅ローン減税の拡充、金利上昇分に対する一定期間の利子補給、親からの住宅取得資金贈与に関する非課税制度の拡充など、支援方法はいくつも考えられます。

大切なのは、現在の住宅価格と金利負担に見合った支援になっているかということです。

土地価格、建物価格、住宅ローン金利の三重苦に直面している今、住宅取得支援も従来の延長線上ではなく、もう一段大きくする必要があるのではないでしょうか。

これは、住宅を販売する現場にいる私の切実な意見であり、住宅を取得したいと考えている多くの方の切実な願いでもあります。

よくある質問

住宅ローン金利は今後も上がりますか?

必ず上がるとは断定できません。日銀は経済、物価、賃金などを確認しながら政策金利を判断します。ただし、今後も政策金利を調整していく方針を示しているため、住宅ローンを組む際は、金利がさらに上がった場合も想定しておく必要がありますが、トレンドとしては上昇トレンドかと思います。

日銀が利上げすると、変動金利はすぐ上がりますか?

必ず同じ幅、同じ時期に上がるわけではありません。変動金利の基準や見直し方法は金融機関によって異なります。また、多くの金融機関では金利を半年ごとに見直しますが、返済額を5年間据え置く「5年ルール」や、見直し後の返済額を直前の125%までに抑える「125%ルール」を採用していない商品もあります。これらは返済を免除する仕組みではなく、元金の減りが遅れたり、未払利息が生じたりする可能性があります。契約内容を必ず確認してください。

よって金利上昇がすぐに支払額に反映されるわけではありません。

4,500万円を35年、金利1.0%で借りると月々いくらですか?

元利均等返済、ボーナス返済なし、金利が35年間変わらない前提では、月々約12万7,000円です。総返済額は約5,335万円、支払利息は約835万円となります。

40年ローンのメリットは何ですか?

35年ローンより毎月の返済額を抑えられることです。一方で、利息を払う期間が長くなり、総返済額が増えやすい点や、完済年齢が高くなる点には注意が必要です。

住宅価格や金利が下がるまで待つべきですか?

一律には判断できません。土地価格は地域によって動きが異なり、建物価格や金利がいつ下がるかも分かりません。価格だけでなく、家族構成、年齢、家賃負担、自己資金、希望する地域の供給状況を含めて判断する必要があります。

※記事内の住宅ローン返済額は、元利均等返済・ボーナス返済なし・金利が返済期間中変わらないものとして計算した概算です。実際の返済額は、金融機関、金利タイプ、融資手数料、保証料、団体信用生命保険、金利の見直しなどによって異なります。

執筆者プロフィール

福井健太。神戸都市開発株式会社 代表取締役。不動産業界歴24年。神戸・阪神間を中心に、住宅購入希望者と日々向き合う現場の営業マンとして執筆しています。

主な参照先:日本銀行「金融政策決定会合」、国土交通省「みらいエコ住宅2026事業」「建築着工統計調査」、住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2025年4月調査)」

※返済額は元利均等返済・ボーナス返済なし・期間中の金利一定として試算した概算です。実際の適用金利、手数料、保証料、団体信用生命保険の上乗せ金利などにより異なります。5年後の数値は将来予測ではなく、物件価格5,000万円・金利1.5%と置いた仮定です。

参照リンク