【あなたは大丈夫?】住宅ローンの落とし穴「ブラックリスト」 | 住まいのWebマガジン/TEAM NEXT MAGAZINE

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【あなたは大丈夫?】住宅ローンの落とし穴「ブラックリスト」

住宅ローンと一口にいいましても、各銀行が独自の審査基準を持っており、その商品パッケージも様々ですのでなかなか一口に語ることができません。今回は、住宅ローンの中でも非常に大事な審査の部分、いわゆる個人信用情報についてのお話しをメインにしてお話ししたいと思います。

目次

1.住宅ローン審査で必要な3つの要素

まず銀行の住宅ローン審査は、三つの要素から成り立ちます。これはどこの銀行でも同じです。

①返済比率
②担保評価
③個人信用情報

まずは①返済比率です。

返済比率とは……
■収入に対して、その住宅ローンの返済が年収の何%までなのかという割合

これは各銀行によって基準が異なります。
例えば同じ年収400万円の場合でも、りそな銀行の場合と三井住友銀行の場合では計算上の借り入れ可能金額は異なります!あくまでも計算上ですが……

さらに収入合算の考え方も銀行によって異なります。

収入合算とは……
■ご主人の年収に加えて奥様の年収も加えて返済比率を計算する事

もちろん奥様が正社員じゃないと合算できないとか、いやいやパートでも足せますよ、とか、勤続が短くても足せますよ、などの基準は各銀行でまちまちです。

続いては②担保評価です。

住宅ローンを組むと銀行は購入物件に対して抵当権を設定します。要するに住宅ローンを払えなくなると銀行主導で競売にかける訳です。抵当権設定とは、シンプルに説明すると「借金のカタ」。住宅ローンという借金のカタに購入物件を押さえている状態です。もちろん住宅ローンを完済すると、抵当権も抹消されます。なので、銀行はいざという時にいくらで売れて借金を返してもらう事ができるか、という査定を住宅ローン審査の際にしているのです。これはその土地、建物によって異なりますし、銀行独自の基準があります。

2.個人信用情報とは

そしてメインの③個人信用情報について詳しくお話しします。

個人信用情報とは…
■クレジットやローンの契約や申し込みに情報の事で、客観的な取引事実を登録した個人の情報の事。
出典:割賦販売法・賃金業法指定信用情報機[https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html]

よくお客様や私の知り合いからも、「住宅ローンのブラックリストはあるの?」と聞かれます。
いわゆるこのリストに載っていればダメ、というリストはありませんが、ほとんど同じような物があります。そこに記載されている事項が、実質的なブラックリストになります。基本的に銀行やカード会社、そして消費者金融は「個人信用情報機関」に加盟しており、それぞれが持っている個人信用情報(借入履歴や延滞履歴)をその機関に登録し(いわば提供し)、それぞれの金融機関情報を共有します。

例えばAという消費者金融で借りた情報は、Aが個人信用情報機関に登録しますので、Bという銀行は住宅ローン審査をする際にその情報を閲覧し、その借り入れ事実を知ることができるわけです!

ほぼ全ての金融機関(銀行、カード会社、消費者金融)は個人信用情報機関に加盟しています。加盟していないとすれば、いわば闇金と言われる所ぐらいかと思いますが、一般の人は普通の金融機関をとばしていきなり闇金には行きませんよね。

そしてこの個人信用情報機関は三つあります。

まずは主に銀行系の情報を扱う全国銀行個人信用情報センター、そしてJICC、後はCICと三つです。このJICCとCICは、クレジットカードの情報や消費者金融の情報がメインになります。

延滞の遅れなどの金融事故が発生すると、各金融機関は「この人はこんな遅れがありましたよー、加盟店の皆さん気をつけて下さいよー」という情報を登録されてしまいます。

しかしこれがブラックリストに載った、という訳ではありません。
金融事故(支払いの遅れ等)のメインは延滞情報です。

例えばクレジットカードの支払いが1か月以上遅れた場合、基本的には延滞が1つつきます。この延滞が住宅ローンを申し込む際の直近1年程度で3つついていれば基本的に住宅ローンは難しいです。ただ、この判断は各銀行によってかなり分かれます、個人信用情報に寛容な銀行であれば勤務先等の属性を見て住宅ローンOKになる銀行もあります。しかし、どうしてもダメな情報があります。

それは、「異動」です。

3.ローンが7年間は組めない「異動」とは?

これが個人信用情報に出てしまうと少なくとも7年間は絶対に住宅ローンは組めないどころか、車のローンや分割払いも厳しいと思います。これが個人信用情報に掲載されると、いわゆるブラックリストに載ったといっても過言ではありません。

では異動とは何か……

例えばクレジットカード会社の請求を半年程ほったらかしたとしましょう。半年程ほったらかしにすると、その債権はクレジットカード会社から他の会社(債権回収会社等)に異動されます。こうなったらクレジットカード会社は債権が異動したという事で、「異動」という情報をJICCやCICに登録します。

こうなったら最悪です。いわばブラックリストです!

この異動情報は少なくとも7年間は消えません。ちなみに、いくら年収が高くても、いくら自己資金があっても、いくらいい勤務先に勤めていても、個人信用情報がひっかかると1円も借り入れできません。

もちろん異動の他にも「債務整理」や「破産」などの情報も掲載されますが、少なくとも7年(MAX10年)も掲載される事はいうまでもありません。私たちの営業現場でたまにあるのは、学生時代にクレジットカード会社の請求書をほったらかして、20代後半で家を買おうと思って住宅ローン審査をしたらどこもダメだったという話はありますが、その場合は「異動」のケースがほとんどです。

金額の問題ではありませんのでご注意ください!

4.どこまで何をしたら「金融事故」になってしまうか?

では、どこからが金融事故になるのか……です!

金融機関によって基準が異なりますので、これを解説するのは少しややこしいですがなるべく分かりやすくご説明したいと思います。

まず、延滞をしていなくてもキャッシングを頻繁に利用したり、借り入れが複数あったりする方は要注意です!それだけ借り入れをする人なんだ、と見られます。

また、「専業」と呼ばれるいわゆる消費者金融については、ちゃんと返していても借入の履歴があるだけでアウト、という銀行もあります。ちなみに個人信用情報は、返済の遅れが掲載されるはもちろん、借り入れ先や商品、借り入れ金額もしっかり記載されます!
つまり、昨年完済したけどアコムの借り入れがあったんだよな……という方も要注意です。審査が他の要素も含めてギリギリの場合、借入履歴がある為にアウトになる可能性は十分にあり得ます。

それでは延滞情報はどの程度から延滞情報になるか、ですが、基本的には1か月遅れと思って下さい。引き落としが出来なかったりした場合に、まずは電話やハガキが来ると思います、そこからすぐに払うと延滞はつきません。ただ、これを何回も繰り返していると延滞はつきますのでご注意下さい!

5.気になる場合は個人信用情報を調べてみるのも一つの手。

個人信用情報は本人であれば申請すればすぐに取得できますが、支払い情報は毎月ごとに区切られ、ちゃんと払った月は💲みたいなマークです。そして延滞の場合はAマークです。このAマークが三つ以上はかなり危険度が高いと思って下さい。後はたまにPというのもありますが、これは一部入金、つまり全額は払っていないので延滞と同じ扱いになります。

そしてこの延滞情報は異動と比べて比較的早めに消えていきます!

もちろんその遅延情報が連続3か月なのか、飛び飛びで3か月なのかによっても対策は変わります。その遅延情報が過去いつにあって、それに連続性があるかどうかという所がポイントになります。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は住宅ローンの個人信用情報をメインにお話ししました。ご自身の信用情報が気になる方は、個別で調べてみるのも方法としてありかもしれませんね。

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記事:福井健太 編集:生田愛佳