今回のコロナ禍は、たくさんの業界で多大な影響を与えています。株価と並んで景気のバロメーターといわれる不動産価格は今どんな影響を受けていて、そしてアフターコロナはどのように変わっていくのでしょうか?
前回は「Part1.コロナ禍で不動産価格はどうなっていく?不動産業も営む代表が解説!【実需編】」にて、戸建てやマンションの不動産価格についてお話ししました。
今回は「民泊・オフィスビル」の不動産価格についてお話しします。
目次
1. コロナ禍における民泊・ホテルの不動産価格の影響は?
それでは実需以外を見ていきましょう。
まずは民泊……はっきりいって壊滅です……
そしてホテル、これも壊滅です……
しかしホテルについてはインバウンドの割合が低いホテルから徐々に回復していくかと思いますが、ほぼインバウンド頼みの民泊は絶望的です。
ちなみに、現在不動産業界で売りに出ている案件のベストスリーは民泊、ホテル、オフィスビル(特に空ビル)です。
特に京都の民泊は、数年前の民泊ブームに乗って不動産にあまり慣れていない個人投資家(不動産屋含む)が購入した案件が現在かなりたくさん売りに出ています。
そのような案件は銀行から借り入れをおこしている案件が多いので、売り上げはゼロだけど銀行への支払いは発生する、といった事態になり、やむなく売却するといったケースが多いかと思います。
2. バブル時代を彷彿させるホテル用地の不動産価格、はじけ下落に
さらに、このインバウンド需要の落ち込みは数ヶ月というスパンでは回復は望めませんので、売却をしていく方も多いです。
特にホテルやホテル用地の落ち込みは激しいように思います。というよりも、むしろバブルがはじけた印象です。
ここの数年のインバウンド需要の高まりを受けて、大阪や京都のホテル用地は高騰してバブルの様相を呈しておりましたが、この半年ほどでその流れが落ち着いたところで今回のコロナショックです。
下げ幅がかなり大きいので、ショックが大きいように思いますが、20年近くこの業界にいる私からすれば、むしろバブルがはじけ、元に戻っていくという感じです。
このホテル用地(商業用地含む)やホテルそのもの、そして民泊はまだ下がると予想されます。
この種の不動産価格は物件本来が持っている価格力(いわば自力の価格)と、世の中の流れに左右される付加価値価格(いわばプレミア)を合計した価格で取引されますが、まだまだ自力の価格まで下がっていない案件が多いように思います。
従って今後はこれらの案件はまだ価格は下落するものと思われます。
3. オフィスビルの不動産価格、需要ともに下落の可能性
最後にオフィスビルの不動産価格についてお話しします。
オフィスビルの相場動向については少し微妙なところがありますが、長期的には下落していくと思います。理由は、オフィスに対しての絶対需要が低下していく流れには歯止めがきかないからです。
シンプルに説明しますと、仮に今日本全国のオフィス面積の合計を100万坪としましょう。(※実際はそんな事ありませんが)その20年、30年後の社会のあり方として、その100万坪も需要があるでしょうか?
おそらく無いと思います。
今回のコロナ禍で多くの大企業や中小企業は「テレワークが意外といけるな」という事に気付きました。
もちろんテレワークが実施できる企業やそもそも社の方針としてテレワークを実施しないという企業はあるかもしれませんが、中長期的な流れでいくとオフィスで皆で集まって仕事するスタイルが定説、という流れは壊れていくと思います。テレワーク、ないしは週に2回出勤のようなハイブリッド型も普及するでしょう。もちろんそれに伴って現在のオフィスビルをシェアオフィスに変えたりする流れで生き残りを図る場合もあるかと思います。
オフィスビルはホテルや民泊のように急激な落ち込みは無いにしても、中長期的には価格は下落していくものと予測されます。
ちなみに、リーマンショック時にはオフィスビル相場が落ち込み、回復には数年要しました。今回もショックによって多少落ち込み、そこから若干回復(地力回復)した後にずるずると少しずつ下落していくものと思われます。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか?
民泊・ホテルといったインバウンドの割合が大きい不動産ほど、コロナによる観光客の回復を見込めるまでは価格下落は避けられないと思われます。そして在宅ワークが普及し、従来の働き方に変化が起こっているオフィスワークの影響で、オフィスビルの不動産価格に変化が起こると見込まれます。
以上今回はコロナ禍の不動産価格、そしてアフターコロナの見通しでした。
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記事:福井健太 編集:生田愛佳